日本医療機器学会誌「医療機器学」8月号のお知らせ

医療機器学91巻8月号には、4本の原著論文が掲載されています。それぞれ洗浄機のすすぎ性能評価、洗浄後の発熱性物質の評価、静脈穿刺支援機器、人工呼吸器のデータモデルについてなど、日常臨床の中から自らエビデンスをつくりあげていくという臨床研究の醍醐味ともいえる成果をご発表頂き、大変読み応えのある内容でした。また、考案には僧房弁閉鎖不全症手術におけるデバイス開発についてご投稿頂きました。外科医が実際の執刀を通して様々なデバイスを発展させ、臨床応用を目指すことはまさに第96回学術集会の英語テーマである‘Having New and Excite’であり、今後もこのような論文の投稿を期待したいです。

特集は一転して「医療機器分野への数値シミュレーションの応用と関連するレギュラトリーサイエンス」についてです。前号でも触れられましたが、レギュラトリーサイエンスとは、「根拠に基づく予測、評価、判断を行い有効性と安全性と品質を評価するための科学的手法」、数値シミュレーションは「現象を定量的に扱うために作られた数値モデルを元にコンピュータ上で行う模擬実験」と言い換えることができるかもしれません。これらについて、PMDA報告書、米国機械学会規格、不確かさの定量化、整形外科・脳神経外科分野への応用など、それを専門としない医療者にとってはあまり触れてこなかった内容について第一線の先生方にご執筆頂きました。

【日本医療機器学会誌「医療機器学」 Vol. 91,  No.4, 2021 目次】

《原   著》

■ウォッシャーディスインフェクターのすすぎ排水中に含まれる洗浄剤残留量の測定によるすすぎ性能評価

三軒 隼人・他 P315-P322

■洗浄・滅菌した再使用可能な医療機器に残留する発熱性物質の評価

野村 祐介・他 P323-P331

■静脈穿刺支援機器の知名度と有用性の調査および機器の改善点の分析

松井 健・他 P332-P341

■人工呼吸器の操作と保守点検に関わるデータを包含できるデータモデルの構築

森 信洋・他 P342-P349

《考   案》

■僧帽弁形成術における経心尖アプローチ人工腱索植込みデバイスの開発

阪口 正則・他 P350-P355

《特   集》

〈医療機器分野への数値シミュレーションの応用と関連するレギュラトリーサイエンス〉

■特集のねらい

佐久間 一郎・他 P356-P357

■数値シミュレーションの医療機器開発への応用に関するPMDA科学委員会報告書の概要と展望

鎮西 清行 P358-P362

■米国機械学会医療機器向けシミュレーション規格V&V 40 の考え方

山田 貴博 P363-P366

■数値シミュレーションにおける不確かさの定量化の基本的な考え方

大島 まり P367-P372

■数値計算の運動器医学への応用の現状と将来展望

菅野 伸彦 P373-P378

■数値計算の医学への応用の現状と将来展望:脳血管疾患のCFD 解析

庄島 正明 P379-P383

《報   告》

■AAMI eXchange 2021

長澤 智一 P384-P388