『医療現場における滅菌保証のための施設評価ツールVer.1.0』発行のお知らせ

 本学会の滅菌管理業務検討委員会で策定を進めておりました「医療現場における滅菌保証のための施設評価ツールVer.1.0」を発行しましたのでお知らせいたします。

本ツール発行にあたって

 2000年に滅菌技士認定制度が発足し、医療現場における滅菌保証のガイドラインが刊行されてから20年以上が経過した。この間に、わが国の滅菌管理部門で働くスタッフの知識・力量は大きく向上してきたが、その実力の向上がそのまま施設の業務レベル向上につながらず歯がゆい思いをされている滅菌技師/士の声も聞こえる。
 そもそも、わが国には何らかの器材の再生処理を自施設で行っている医療機関が数万以上あることを考えると、現在の滅菌技師/士の有資格者数はそれにはるかに及ばない。優れたスタッフを大勢揃え、最新のシステムを導入し、超高品質の再生処理を行えている施設もあるだろうが、最低限遵守すべき業務手順を行えていない施設も多いかもしれない。
 理想的な再生処理を日々実現することが、滅菌管理業務にあたるスタッフの目指すべきものであり、わが国のすべての医療施設でその理想が実現されることを祈っている。しかし、その実現の前に、まず、それぞれの医療施設の滅菌管理業務レベルを、必須事項を守れる程度に改善しなければ、国民は安心して医療施設で侵襲的な治療を受けることもできない。
 本評価ツールは、医療現場で働くスタッフが、自施設の業務レベルを客観的に評価し、適切に行えている点、不足している点を認識し、そのレベルを改善するための手段として、日本医療機器学会の滅菌管理業務検討委員会が策定したものである。その策定には、国立大学病院材料部長会議、有志の全国の中材研のみなさまのご協力をいただいた。
 できるだけわかりやすく、設問数も可能な限り少なく策定したが、まだまだわかりにくい、答えるのが大変だというご指摘もあるだろう。それぞれの設問に解説を付記したが、より一層の理解のためには、「医療現場における滅菌保証のガイドライン」を参照してほしい。
 優れた業務レベルを実践できている施設には高評価で報い、さらなる向上を目指していただきたい。もう一歩という施設には、不足している点を認識していただきたい。問題が山積みの施設には、まず必須事項を満たし、最低限の合格レベルに達するよう努めていただきたい。
 現場の声を聴きながら、新しい流れを取り込みながら、本ツールはこれからも改訂を繰り返していく予定である。そして、近い将来、日本医療機器学会が優良施設を認定する仕組みを構築し、患者さんが医療施設を選ぶ時の基準の一つとして認識されるように育てていきたいと考えている。

深柄 和彦
一般社団法人日本医療機器学会
滅菌管理業務検討委員会 委員長
東京大学医学部附属病院
手術部・材料管理部、部長